化学工場プラントオペレーターとジョブ型雇用の相性は?【結論】最高です
プラントオペレーターが気になる人
「プラントオペレーターって、大企業が募集してるし給料とか福利厚生もよさそう。三交代制の仕事だけど休日も130日以上あるみたいだし、正社員なのがいいよね。
でも最近『ジョブ型雇用』って聞くようになったよね。プラントオペレーターってジョブ型雇用なんでしょ?雇用は問題ないの?まさかアメリカみたいに簡単にクビになったりしないよね。給料も、ちゃんと上がっていくよね」
こういった疑問にこたえます。
- 記事の内容
- 化学工場プラントオペレーターとジョブ型雇用の相性は?【結論】最高です
- プラントオペレーター×ジョブ型雇用のメリット・デメリット
- 財閥大手化学工場で22年勤務(現役)
- 3交代制化学工場プラントオペレーター(化学プラント製造オペレーター)歴17年
- 地方無名大→営業1年半で爆死→半年ニート→未経験から化学工場3交代勤務
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結論から言います。「プラントオペレーター×ジョブ型雇用」は相性最高です。なぜなら
- ジョブ型雇用:仕事内容や責任、勤務時間が決まっているから楽だけど給料が上がりにくい。仕事がなくなるとクビになる可能性あり
- プラントオペレーター:ジョブ型雇用だけど「日本の大企業」なので年功序列で給料が上がりやすい。仕事がなくなれば部署異動でクビにならない。労働組合があるのでクビにならない
このとおりでして、プラントオペレーターはジョブ型雇用で楽をしつつ給料も雇用も守られる「おいしい」働き方です。
日本の大企業でも、「ジョブ型雇用」を始める会社がでてきました。今後この流れは加速すると思われます。
そこで今回は、プラントオペレーターとジョブ型雇用の相性。そしてメリット・デメリットを考えていきたいと思います。
この記事を読めば、もう「ジョブ型雇用ってなに?プラントオペレーターになりたいんだけど、ジョブ型雇用だと何かマズいの?」と迷う事はなくなります。
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化学工場プラントオペレーターとジョブ型雇用の相性は?【結論】最高です
まず結論から。プラントオペレーターとジョブ型雇用の相性は最高です。
なぜならプラントオペレーターは、ジョブ型雇用で「仕事内容と勤務時間」に余裕を持ちつつ「給料と雇用」がしっかり守られるから。
プラントオペレーターとは:大規模化学工場の運転作業員
- プラントとは:工場の生産設備一式(複数の設備が合わさったもの)。製品などの生産をするのに必要な設備。大規模な工場。
- オペレーターとは:運転作業員。プラントを管理、監視する人。
三交代制の仕事が基本。大手の化学メーカーにある職種です。
プラントオペレーターについて詳しくは≫【体験談】プラントオペレーターで人生が変わった7つの理由へどうぞ。
ジョブ型雇用とは:「仕事」と「時間」と「給料」が限定的な仕事
ジョブ型雇用は特定の「仕事」に対して人を募集する方法でして、中途採用はこの方法が一般的。
たとえば、
- 営業職
- 経理
- 人事
など職種を限定して募集する方法。明確な専門的な仕事範囲があって、それに合った人材を募集する方式。
一方で、これまでの日本の主流だったのが「メンバーシップ型雇用」
まず新卒を一括で採用。採用時点では何の仕事をするかは未定。研修などを経て適性を見つつ配属。転勤・異動を繰り返しつつ多様なスキルを身に付けていく。とりあえず必要そうな人数採用して、後から仕事を振り分けるイメージ。
ジョブ型とメンバーシップ型の特徴は以下の通り。
ジョブ型雇用 | メンバーシップ型雇用 | |
仕事の幅 | 限定的かつ明確。何を遂行すべきなのかジョブディスクリプションで決められている。 | 総合的、幅広い、あいまい。会社の都合、会社の人材計画によって変化していく。 |
求められるスキル | 専門的。1つの分野の技術、スキルを磨いていき、専門性を高めていく。スペシャリストタイプ。 | 総合的。1つの分野の知識、スキルを追求するのではなく、さまざまな分野の知識・スキルを身につけていく。ゼネラリストタイプ。 |
転勤の有無 | なし | あり |
報酬制度 | スキル依存。年齢・学歴に関係なく、スキルがある人が評価される。 | 年齢や勤続年数依存。スキルによりも社歴、年齢などが重要な要素。 |
教育制度 | 自己研鑽。誰かに与えられなくても、自ら学んでいく。 | 会社による集合研修。会社に用意されたものを受ける。 |
採用手法 | 中途採用型(新卒でもジョブ型雇用はある) | 新卒一括採用型(総合職で一括採用) |
労働契約 | 仕事に依存 | 会社に依存 |
このとおり。
プラントオペレーターの特徴は、以前からジョブ型寄りでした。上記の表、「ジョブ型雇用の特徴」をプラントオペレーターに当てはめて考えてみますね。
- 仕事の幅
定年まで、同じ工場の同じプラントを担当。明確に仕事内容が定まっている。
- 求められるスキル
1つの分野、プラントの運転を極めていく。プラントは設備が大きいだけに、なかなか奥が深い。5年ほど勤務してやっと1人前扱いの部署もある。
- 転勤
担当のプラントを変わらない限り、転勤はありません。ですが、テレワークもできません。まだまだ現場の手作業と、勘に頼るところが大きいのが現状。
- 報酬制度
ジョブ型と違う。まだ年功序列が現状。プラントオペレーターは仕事がマニュアル化されてますからね。評価の差別化が難しい。例えば、営業みたいに「今月は契約を5件も多く取ってきた」みたいなことはできない。
とはいえ頑張っている人、そうでない人がいることは事実。後半に書きましたが、ボーナスや昇給で差別化が始まっています(^^;)
- 教育制度
ジョブ型と違う。なぜなら新卒採用が主流で、中途採用は現在はまだ少数派。ゼロから先輩社員が教えていく形。
ですが同業他社の、プラントオペレーターの方が転職してきた場合。プラントの基本は「おさらい」程度に、実際の工程や自プラントならではの操作ポイントなどの説明から始める場合もあります。
基本がわかっていれば、理解が圧倒的に早いですからね。こういったケースはジョブ型に近い。これから増えていくと予想します。
- 採用手法
新卒、中途採用両方あり。基本的にジョブ型雇用は、欠員が出た場合即戦力の人員を採用する形かと思います。
ですが先ほどにも書いたとおり、プラントにも「クセ」みたいなものがありまして。1人前になるのに5年ほどかかる部署もあったりします。なので即戦力とはいかないかも。
とはいえプラントの基本は同じ。同業他社の中途採用の人の方が、圧倒的に戦力になるのは早いはず。「こんな仕事とは思わなかった」みたいな、ミスマッチも少ないですしね。
そういった意味で、やっぱりジョブ型雇用と相性がいい。
- 労働契約
ジョブ型と違う。仕事じゃなく「会社」に依存→メンバーシップ型雇用。メンバーシップ型雇用の特徴として簡単にはクビにできません。
つまり、工場やプラントがなくなってもクビにはならない。仕事がなくなってもクビにならず、仕事の幅は決まっている→ジョブ型とメンバーシップ型の「いいとこ取り」になっています。
プラントオペレーター×ジョブ型雇用のメリット・デメリット
ここまでで、「プラントオペレーター×ジョブ型雇用」の相性がよさそうなことは、理解していただけたかと思います。
ここからは、どういったメリット・デメリットがあるかさらに深堀して考えていきます。
化学最大手の三菱ケミカルがジョブ型雇用を導入。職務はプラントオペレーターとそれ以外
化学系国内最大手の三菱ケミカルが大規模な人事制度改革を行ったそう。年功序列は廃止されジョブ型を導入。そこで注目すべきは「プラントオペレーターは別枠」になっている点。
このとおり。T職というのが「プラントオペレーター」を意味します。
三交替を主とするオペレーターと、それ以外では職務の性質が大きく異なることから、オペレーター固有の事情を踏まえ、オペレーターを「T職:テクニシャン」、それ以外を「E職:エキスパート」とする
引用元:年功序列と決別し、ジョブ型雇用を導入した三菱ケミカル。その大改革がもたらした変化とは?d’s JOURNAL(ディーズジャーナル)
つまり、「プラントオペレーターは仕事の性質が異なるので、区分や給与形態を分けますよ」といった意味。
これは「三菱ケミカル」の例ですが、他の化学系の企業もこれに続く可能性大。最大手の決定ですからね。
そこで今回は、三菱ケミカルを例に「プラントオペレーター×ジョブ型のメリット・デメリット」を検証してみたいと思います。
プラントオペレーター×ジョブ型雇用のメリット
- 仕事の「枠」が決まっている
- 大企業の正社員なので「クビ」になることはない
- 「プラントオペレーター」という居場所を確保しつつ、管理職候補にもチャレンジできる
- 工業地帯は転職が有利になる
このとおり。解説していきますね。
- 仕事の「枠」が決まっている
「プラントオペレーター」って仕事の枠が決まっていて、それ以外の仕事をする必要がないんですよね。
参考記事:≫なぜ化学工場プラントオペレーターは未経験でも失敗しない転職先なのか?【仕事内容も解説】
通常の会社員ですと、「もしかして営業に異動になるかも」「地方の支店に飛ばされるかも」みたいな心配もあるかと思います。新卒一括採用されて「配属は、お好きにどうぞ」の状態ですからね..。
もちろんジョブ型が当たり前の社会になれば、それぞれの仕事に「枠」ができてメリハリがつくかも。ですが現状、仕事の枠は「あいまい」です。
その点プラントオペレーターは、三菱ケミカルの職務でもT職・E職と分けられていたように、他の職務とは完全に切り離されています。つまり、「これウチの仕事じゃないでしょ」みたいな仕事が少なかったりします。
- 大企業の正社員なので「クビ」にならない「転勤」もない
日本は雇用が守られる国ですからね。ジョブ型雇用とはいえ簡単に「クビ」にはできません。だけどこれまでの「メンバーシップ型」だと雇用が約束される代わりに転勤させられていました。
ですがプラントオペレーターは「自分のプラントのスペシャリスト」。転勤は、まずありません。つまり、「クビ」にならず「転勤」すらない。
プラントオペレーター×ジョブ型は、ジョブ型とメンバーシップ型のいいとこ取りです。(※ただし、デメリットで書いてますが部署や工場ごと切り離されることがあるようです)
- 「プラントオペレーター」という居場所を確保しつつ管理職候補にもチャレンジできる
これ、衝撃の制度です。「公募」という制度を使うことで、管理職への出世も可能になるらしい。
わたしは「ちょっと残念な大卒」だったりするんですが、プラントオペレーターになったときに自分の中の「小さなプライド」に気が付いたんです。
プラントオペレーターの6~7割は高卒の方なんですね。そこで「自分は大卒ですから」と、つまらないプライドをもったりしていた時期がありました。「頑張り次第で課長とかに出世できたりしないかな」と。
だけどあるとき、「プラントオペレーターは定年までプラントオペレーター」という事実に気が付きます。
だったんですが、三菱ケミカルの「公募」という制度が衝撃。これまでは、ある部署に欠員が出ると「会社主導」の転勤や部署異動をして補充していました。
ですが「公募」という制度は欠員が出ると、まず会社内専用のインターネットで社員に対して募集をかけるんですね。それでも応募者がいなければ、そこで初めて会社主導の異動が行われるらしい。
これはプラントオペレーターのT職にも有効。つまりプラントオペレーターでも希望すればE職(プラントオペレーター以外の事務系の仕事)になれるらしい。
じつはこの制度には、もう一つメリットがありまして。それは「部署ガチャで外れた場合、公募で他部署に逃げられる」ということ。
会社員の圧倒的なリスクとして部署ガチャが存在します。いくら念願の大企業に入れたとしても、部署ガチャで外れたら最悪退職にまで追い込まれます。
そこでこの「公募」があればハズレ部署から脱出可能になります。さらに希望者は出世のチャンスもあるってこと。つまり「現状維持か、それ以上」っていう夢のある選択肢があるってこと。
- 工業地帯は転職が有利になる
プラントオペレーターって、ちょっと特殊な仕事。だけど取得する資格とか知識は、他社でも共通する部分もあったりします。なので、今後ジョブ型が主流になってきたときは..
工業地帯の会社でプラントオペレーターをしていると、周辺のもっと条件のいい工場にサクッと転職できる時代がくるかもですね。
プラントオペレーター×ジョブ型雇用のデメリット
- 年功序列が廃止で給料が上がりにくくなる
- 出世できない
- 「今後」クビになる可能性がでてくるかも。そうでなかったら、工場まるごと別の会社変わる可能性も
- 「不利な」職場に置き去りにされる危険性あり
このとおり。解説していきますね。
- 年功序列が廃止で給料が上がりにくくなる:昇給するには「昇格」が必要
これまでのメンバーシップ型の場合、仕事ができてもできなくても、やる気があってもなくても、昇格してもしなくても、自動的に給料は上がっていきました。ですがジョブ型は、あくまで仕事に見合った報酬です。
<プラントオペレーターの例>
- 班員
- 班長
- 主任
- 統括主任
といったように、階級が4段階に分かれています。これまでは、「経験10年の班長より、経験20年の班員の方が給料が高い」といったことが起こっていました。
ですがこれからは、「各等級のレンジがオーバーラップしないようにレンジ間の差をつける」という言葉からわかるように、昇格することが昇給の条件になるようです。つまり「ずっと班員のままだと昇給しにくくなっている」ということ。
- 出世できない:「公募」を使ってチャレンジあるのみ
何もしなければ出世できません。昇給も、あまりしません。班員のまま定年を迎えることになります。これがデメリット。当たり前ですね。
もしプラントオペレーターから出世を考える場合、主任を目指すのか管理職を目指すのか選べるようです。やる気があるときに「公募」を利用してチャレンジあるのみ。
- 「今後」クビになる可能性がでてくるかも。そうじゃなくても工場まるごと別の会社に変わる可能性もあり:いつでも転職の準備はしておこう
現在の日本で主流の「メンバーシップ型雇用」。なんですが世界的には「ジョブ型雇用」が主流らしい。「ジョブ型雇用=簡単にクビになるイメージ」があるかもですね。
ですがヨーロッパなどのジョブ型雇用も、簡単にはクビにならないらしいですよ。(アメリカはクビになるみたいだが..(;´∀`)コワっ)≫参考記事:日本で根深い「ジョブ型雇用は解雇自由」の勘違い
とはいえ、日本の人口は減少傾向。今後ずっと雇用が保証されるかどうかはわかりません。メンバーシップ型よりジョブ型の方が、クビになる可能性としては高そう。
※※「工場まるごと」別の会社に変わる可能性※※
こちらの記事をご覧ください≫参考記事:石油化学事業の大規模再編幕開けか 最大手・三菱ケミカル分離発表(産経ニュース)
こちらも三菱ケミカルのニュース。石油化学事業を、まるごと切り離すことが決定されたそう。今回の決定は「売り上げの低迷」と、世界的な流れの「脱炭素」が大きな理由らしい。
つまり個人がクビにならなくても、「部署ごと」「事業ごと」切り離しってこともありうる。なのでいつでも転職エージェントなどで自分の価値を判定しつつ、転職準備はしておいた方がいいってこと。(プラントオペレーターに限ったことではないが…)
- 「不利な」職場に置き去りにされる危険性あり:公募は使うためにある!はず..
先ほどに「部署ガチャでハズレても、公募を使えば脱出できる。」と書きましたが、人間は本来変化を嫌うもの。公募で部署異動といっても、転勤や転職ほどのインパクトがあるはず。
「まぁオレは、今のままでいいかな。」といって、ずっと人気のない不利な部署にとどまり続ける人も出てきそう。
つまり自分から動く意思がないと、どんどん不利な状況に追い込まれる危険性あり。「公募」制度は、おそらく神制度。うまく利用すべき。
まとめ:プラントオペレーターは、ジョブ型雇用でも安定安心の働き方。だけど、取り残されないよう情報の入手はしておこう
- 化学工場プラントオペレーターとジョブ型雇用の相性は?【結論】最高です
- プラントオペレーターとは:大きな工場の運転員
- ジョブ型雇用とは:明確な仕事範囲があって、それに合った人材を募集する方式
- ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い
- ジョブ型雇用×プラントオペレーター
ジョブ型雇用×プラントオペレーターの相性は最高。プラントオペレーターはジョブ型とメンバーシップ型の「いいとこ取り」になっています。
- プラントオペレーター×ジョブ型雇用のメリット
- 仕事の「枠」が決まっている:他の職務と「完全に」切り離されている
- 大企業の正社員なので「クビ」になることはない:転勤もない。安全を守るのは契約社員じゃなく正社員
- 「プラントオペレーター」という居場所を確保しつつ、管理職候補にもチャレンジできる:「公募」という神制度を始めた三菱ケミカル
- 工業地帯は転職が有利になる:条件のいい同業他社に転職可能
- プラントオペレーター×ジョブ型雇用のデメリット
- 年功序列が廃止で給料が上がりにくくなる:階級が上がらないと昇給しない可能性あり
- 出世できない:公募を使うと事務系の仕事に異動可能?
- 「今後」クビになる可能性がでてくるかも。そうじゃなくても工場まるごと別の会社に変わる可能性もあり:情報は身を守る。興味をもってこまめに確認
- 「不利な」職場に置き去りにされる危険性あり:いつでも脱出できる準備はしておこう
今回は三菱ケミカルを例に出して書いてきましたが、おそらく他の化学メーカーもジョブ型雇用になってくるはず。その時は、今回の記事を参考にしていただければ幸いです。
これからは「ジョブ型雇用」の時代。自分から動く人は幸せになれます。逆に動かない人は置き去りになる可能性あり。
やる人・やらない人。自分で選択できる時代になってます。
つまり、やってやりましょう!
今回は以上となります。
それでは。
あなたの人生に幸あれ。
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